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HAIR SALON DANDY上天草市『私たちは忘れない。令和7年8月の記録的大雨で住み慣れたふるさとが大きく傷ついたあの日のことを。必要としてくれるお客さんが一人でもいる限り、この場所で理容室を続ける決意の岡部義人さん。』かたりばvol.26

2026/4/21

かたりば

HAIR SALON DANDY上天草市『私たちは忘れない。令和7年8月の記録的大雨で住み慣れたふるさとが大きく傷ついたあの日のことを。必要としてくれるお客さんが一人でもいる限り、この場所で理容室を続ける決意の岡部義人さん。』かたりばvol.26

取材🎤文章💻撮影📸 :太田弘樹(一部写真はご提供いただきました)

平穏を取り戻した店舗前の道路。畠山神社周りの木々は新緑の時期を迎えています。

3月中旬に改修工事が終了。「お店は営業できるから他を優先して」と業者の方にお願いしたそう。

〇地域に根差して38年。常連さんが足しげく通う理容室「HAIR SALON DANDY」は、上天草市松島町の畠山神社や知十観音近くにあります。

上天草市松島町今泉地区。ここに常連さんが足しげく通う地域に根差した理容室があります。千元の森嶽が背後にそびえるミントグリーン色の建物が印象的な創業38年の「HAIR SALON DANDY」です。お店を営むのは、岡部義人さん63歳。もともとご実家が理容室を営んでいたという岡部さん、熊本市内の専門学校や店舗で修行をしたのち、25歳で故郷に帰郷し、この場所にお店を構えました。以来、確かな技術と朗らかなその人柄から、なかには家族三世代に渡って30年以上のお付き合いの常連さんもいるほど、この地域の方々が定期的に通われる、なくてはならない存在です。大きな窓やドアからは柔らかな春の日差しが射し込む白を基調とした清潔感のある店内ですが、よく見ると、窓やドアに貼ってある一筋のテープ。聞けば、去年夏の記録的大雨による浸水被害の跡だそう。もともとこのお店、道路よりも50㎝ほど高く作られていましたが、そんな店舗床から1m10㎝以上の高さまで泥水が押し寄せたそうです。

創業38年。もともとご実家が理容室。熊本市で修行後、25歳で開業したお店。

大きな窓やドアからは柔らかな春の日差しが。白を基調とした清潔感のある店内

窓に貼ってあるテープ。道路よりも50cmほど高い店舗床から1m10cm以上の浸水被害。

〇線状降水帯が発生。危険を感じ自宅から店舗へ家族を移動させた早朝。

ここ数年、早朝から理容室開店までの時間を利用して、荷物の仕分け作業をしていた岡部さん。その日の早朝はいつもと何かが違っていました。大きな音を立てて激しく降り続く滝のような雨、この地域を覆うように広がる線状降水帯の発生を知らせるニュース番組。

『これは尋常じゃないなって思いましたね。自宅は山の斜面近くに建っていたのでちょっと心配になって。雨の中でしたが、このお店に家族を連れてきました。ここだったら大丈夫だろうと思って・・・。建物周りには無いもなし、道路よりも50㎝ほど基礎も高くなっているので。』

この場所でお店を構えて38年、初めて感じた違和感でした。その後、仕事に穴を開けてはいけないと職場へと向かった岡部さん。仕事中、心配になって何度も連絡すると、その度に事態は悪化するばかり。

『心配で心配で。早く帰ろうと思ったのですが、3号橋の手前が土砂崩れで通行止めになってしまって帰れなくなったんです。そうしたら今泉地域一帯が水に浸かってしまってですね、10人ほどの方がお店前に避難してきたというので中に入ってもらいました。最初は1階、でもどんどん水位が上がったので、結局は店舗2階にみんなで避難してもらいました。こういう時はお互い様、助け合いですよ。』

どんどん上がる水位。辺り一面が水に浸かってしまったこの地域(店舗2階から撮影)

水に浸かる何台もの車。神社の鳥居は上の部分のみ。殆どの建物一階部分に水が押し寄せた。

雨が落ち着き、救助を待つ店舗2階に避難した人たち。その後、ボートで救出されました。

〇道路より50 cmほど高い店舗床からも1m10cm以上の浸水被害。

2階に避難した家族から送られてくる写真には想像を絶する光景が広がっていました。水に浸かる何台もの屋根部分しか見えない車。神社の鳥居も上の部分のみ。建物一階部分には水が押し寄せ、辺り一面が水に浸かってしまった今泉地域。住み慣れた家が、馴染みのお店が、街並み全てが泥水にのみ込まれてしまいました。それはあっという間の出来事でした。交通規制が解除され、この地区へと急いで車を走らせた岡部さん、目の前に広がる惨状にわが目を疑いました。38年間営んできた店内は泥水にまみれ、物が散乱。大切にしてきた道具や想い出の品さえも手を付けられない状態で、ただただ呆然と立ちつくす岡部さん。しばらくは何も考えられなかったと言います。

水が引いた後の店内。泥水にまみれ、物が散乱する光景にわが目を疑ったと言います。

理髪店用の三脚あるイスのうち二つは廃棄、一つは修理して利用するもいつ壊れるかわからないそう。

お店の前には浸水被害にあった車が。道路に積もった泥も長い間残り、土煙をあげていたそうです。

〇必要としてくれるお客さんが一人でもいる限り。この場所で生涯現役!

『水害から二日後だったかな⁉「お盆だからカットだけでも」って常連さんがお越しになってですね。まだ掃除している最中で、電気も通ってなくて電灯もエアコンもない中、簡易的に場所をこしらえてカットさせてもらいました、私もお客さんも汗だくになりながら(笑)その後もしばらくは工事用ライトで電灯替わりの中でカットしたり、改装中の壁のない状態の期間が長かったので、雪が降って寒い中でカットしたこともありましね(笑)今ではいい思い出です。』

お店はもちろんご自宅も被災した岡部さん。全ての改修工事が終わったのが3月中旬だったと言います。聞けば、取り合えず営業ができる状態にしてもらった後は『他の家の作業を優先して』と業者にお伝えになって、敢えて後回しにしてもらっていたそうです。なんて素敵な方なんでしょう⁉

『結果的にお店もこんなにキレイになりました。この場所で生涯現役、体力の続く限り頑張ります。』

鎮西野球部の子供達や県内外からボランティア活動で駆けつけて下さった皆さんへの感謝の気持ち、自分を頼りにカットをお願いされるお客さん達から、ここで仕事を続ける“やる気と勇気”をもらったという岡部さん。「HAIR SALON DANDY」は上天草市松島町今泉、畠山神社や知十観音近くの道路沿いにあります。ミントグリーンの建物が目印です。おススメですよ!(^^)!

あの日から9ヶ月後に改修工事が終了。新たな出発となった「HAIR SALON DANDY」

この場所に残る決意をした岡部さん。生涯現役、身体の動く限り、この仕事をこの地域で。

泥水に浸った店内は匂いも酷かったので、壁も一度壊して作り変えたそう。

上天草市松島町。畠山神社や知十観音近くの道路沿いにお店はあります。

「HAIR SALON DANDY」の場所はこちらから👇

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