神栄『こんなに美味しいのに捨てられるなんてもったいない!あのコノシロをごちそう料理へと変えた維和島の水産加工会社「神栄」。名物「ぐるぐる」や「炙り押し寿司」はこれまで食べたコノシロ料理の中で一番の美味しさでした』私のシゴトバvol.17

取材🎤文章💻撮影📸 : 太田弘樹(一部写真はご提供いただきました)


「魚を捌いている時間が一番好きだ」と話す神崎芽衣さん。夢はコノシロで世界を目指すことだそう。

維和島の蔵々港には今でも数多くの漁船が停泊している上天草屈指の漁港です。
〇捨てられる魚をごちそうへと変える維和島の水産加工会社「神栄」。
上天草市大矢野町にある「天草四郎の生誕地、車エビ養殖発祥の地」として有名な維和島。人口約1,000人が暮らす四方を海に囲まれたこの島の西側に位置する蔵々港は、古くから漁業が盛んな数多くの船が停泊している今でも上天草屈指の漁港です。そんな漁が暮らしの中心にあるこの維和島蔵々地区で、“かつては捨てられていた魚の代表格であるコノシロをごちそう料理へと変えた”水産加工会社があります。神崎さんご夫婦が営む「神栄」です。凄腕漁師である夫が獲ったコノシロを、妻が鮮度抜群の状態のまま仕上げるその商品は、コノシロなのに“小骨が気にならない”驚くほど食べやすい美味しさ!はっきり言って、「私がこれまで食べたコノシロ料理の中で一番の美味しさ」だと言える極上の逸品なんです。今回は、そんな水産加工会社「神栄」で加工担当の神崎芽衣さんにお話をお伺いしました。

結婚して漁師の妻に。それまでは魚を捌いたことすらなかったそう。今では家族揃ってコノシロの虜。
『もともとコノシロはあまり好きではなかったんです(笑)。漁師である旦那と結婚して、ガラっと変わりましたね。新鮮なコノシロってほんとキレイで、ビックリするほど美味しいんですよ。企業秘密で詳しくは言えませんが、旦那の〆方が上手なんですよね。子供たちも朝から「コノシロのお刺身食べたい」ってせがむほど、今では家族みんな大好きなんです。』
そう話す芽衣さん。実は結婚するまでは魚を捌いたこともなかったとか。今ではいかに早く、キレイに捌けるかに情熱を注ぐ、自他ともに認める“さばき職人”だそうです。ちなみにご主人の漁法がこれまた珍しい”投網漁”。放物線を描きながら広がる網の形の美しいこと。写真を見てもお分かりになると思いますが、熟練した技術や経験がものをいう漁法だそうで、ひと投げで「200~300キロ」獲れる大漁の時もあれば、一日に何網も投げないといけない日もあるとか。すごい世界です。

九州で有数の投網漁のメッカ。技術や経験が物を言う漁法、ひと網で「200~300キロ」獲れる時も。
〇「船の燃料代になれば」という想いから始まった「コノシロを捨てない」という選択。
上天草市は「コノシロの産地」として知られる一方、その小骨の多さから好き嫌いが分かれやすい魚でもあります。江戸前寿司のネタとして需要の高い“ツナシ”や“コハダ”に比べて市場での需要が少ないコノシロはどうしても選別され捨てられてしまう傾向にあったと言います。せっかく獲れたコノシロ、「船の燃料代になれば」という想いから始まった加工品作りへの挑戦、神崎さんご夫婦が選んだ「コノシロを捨てずに活かす」という選択が、今につながる「神栄」としての原点だそうです。

ツナシやコハダに比べて需要が少ないコノシロは捨てられることが多かったそう。
『旦那の仕事が丁寧で、魚の状態が別格なんですよ。そんな鮮度抜群の状態のまま「素早く、丁寧に」。最終的にお客さんが食べる瞬間を逆算して、味の完成点をイメージしながら仕上げています。うちのは小骨が気にならないでしょ?ちょっとそこは企業秘密で言えないんですけどね(笑)。』
確かにコノシロなのに、どの商品もビックリするほど小骨が全く気にならないんです。そのどれもがコノシロ本来の旨味を堪能できる美味しい味わいに仕上がっています。その商品の一つである『維和島漁師&嫁の「鮗酢漬け」』は熊本県で見事グランプリを受賞。神崎さんご夫婦が選んだ「コノシロを捨てずに活かす」というあの日の選択がついに実を結んだ瞬間でした。海に囲まれた維和島にとって、この受賞は大いなる励み、一つの道しるべにになったのではないかと思います。

「こんなに美味しいのに捨てられるなんてもったいない」から始まった商品開発。

維和島漁師&嫁の「鮗酢漬け」は熊本県でグランプリを受賞するほどの商品へと成長。
〇維和島漁師&嫁の「鮗酢漬け」は、“炙って”も“柑橘と和えて”も良き!
今回、維和島漁師&嫁の「鮗酢漬け」を使ったアレンジ料理を始め、色んな楽しみ方を教えて頂きましたが、そのどれもが美味しいのなんのって!酢漬けと甘夏を和えた一皿は、コノシロの旨味と甘夏の爽やかな酸味が相まって最高でしたし、炙ったコノシロで小ネギを巻いた名物「ぐるぐる」はお酒のアテにもピッタリの美味しさ。もちろん「炙り押し寿司」や上天草の郷土料理「コノシロの姿寿司」も最高な味わいなんです。何度も言わせて頂きますが、「私がこれまで食べたコノシロ料理の中で一番の美味しさ」だと言える極上の逸品なんです。騙されたと思って、一度「神栄」さんのコノシロ商品を食べてみて下さい。きっとコノシロの概念が変わる美味しさにビックリされること間違いなしです!(^^)!

芽衣さんおすすめの食べ方「鮗の酢漬けと甘夏を和えた一皿」。甘夏の爽やかな酸味と相まって良き~。

おもむろに酢漬けをバーナーで炙り始める芽衣さん。厨房にはコノシロの脂が焼けて香ばしい香りが。

小ねぎを巻いた名物の「ぐるぐる」。今まで食べたコノシロ料理で一番美味しいと感じた一品です!(^^)!

神崎家のお子さんも大好きだという炙り押し寿司。コノシロ本来の旨味と炙った脂の甘みが良き~。

定番の姿寿司は酢が控えめで食べやすい。コノシロなのに小骨が全く気にならないのが驚きです!!

他にもみりん干し、期間限定のハモや芝エビを使った商品など全部で十数種類を数える。

フレンチの名店でこんな料理に。商品自体はそのままでソースをまとった素敵な一皿に。

いろんな料理法があることを知り、さらに商品開発意欲が増したと話す芽衣さん。
〇全部がダメになった浸水被害。新たな活路を見出した商談会。
令和7年8月、上天草市を襲った記録的豪雨。ここ維和島も大きな被害を受けた地域になります。

『加工場内にも水が押し寄せて、お盆前、多めに仕入れていたものが全て廃棄処分になりました。自宅も自家用車も水に浸かり、地域の皆さんとの交流の場ともなっていたキッチンカーも浸水被害で廃車になってしまいました。これまで通り、事業を続けることもままならない状態が続きましたが、不安な中、初めて参加した商談会で嬉しいことに多くの業者さんの目に留まり、新しい販路へとつながるご縁をいただけました。これまで支えて頂きましたご縁に心から感謝しながら、次の夢は全国で賞を獲ることです。その後ですか?コノシロで世界を目指します。』
溢れんばかりの笑顔で今後の夢について話す芽衣さん。捨てられる魚を“価値あるもの”に変える挑戦。
『これまで捨てられていたコノシロ。それ以外の需要が少ない魚にも光を当てて広めていきたい』。
ここに「神栄」の本質があるように感じます。これまで雑魚と言われ見向きもされなかった地元で獲れる魚に新たな価値を与え、漁業やこの地域の未来へとつなげる神崎さんご夫婦の取り組みは、今後ますます重要になっていくはずではないでしょうか?維和島の水産加工会社「神栄」の今後に期待せずにはいられません。とにかく美味しいコノシロの加工品、ぜひ一度ご賞味下さい。おススメです!(^^)!

全てを一旦ストップさせ新たに活路を見出した福岡での商談会。




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