天草青年の家『南の島での勤務に憧れた青年が父親の背中を追いかけてたどり着いたこの場所。子供たちの未来へとつながる種まきをする天草青年の家 副所長 泉雄樹さん』私のシゴトバvol.19

取材🎤文章💻撮影📸 : 太田弘樹(一部写真はご提供いただきました)


〇山と海の魅力溢れる「熊本県立天草青年の家」は国の名勝・千巌山近くにあります。
上天草市松島町。五号橋を渡り有料道路じゃない方へ。合津港から右折しクネクネな山道を登り、千巌山駐車場をさらに過ぎた千元森嶽近くに、今回ご紹介する施設はあります。鳥のさえずりが心地よい山の自然豊かな、日本三大松島に数えられる海に島々が浮かぶ絶景が望める場所にある「熊本県立天草青年の家」。海と山の自然に恵まれた環境の中、体験と交流・学びの場を提供しながら健全な青少年の育成を図るとともに、『生きる力』を育む様々な取り組みを実施している社会教育施設になります。今回のシゴトバは、「熊本県立天草青年の家」の副所長で、NPO法人ひとづくりJPANネットワークの泉雄樹さんにお話をお伺いしました。



〇父親の背中が僕をここへ連れてきたのかも。必然かも知れないこの仕事。
『本当は南の島のリゾート地で働きたかったんです。』と笑いながら話す天草市五和町出身の泉さん。高校を卒業後、天草を出て福岡の大学で観光産業について学ばれた泉さんが、就職先に選ばれたのが今のお仕事でした。芦北で5年、菊池で3年、そしてこの「天草青年の家」で勤務して9年となります。
『実は父親が、この天草青年の家に勤務していた時期があったんです。その頃、私も休みの日にはここに来てイベントに参加していました(笑)。大学では観光関係がメインで教育に関してはあまり学んでいませんでしたが、あの頃に父の「働く背中」を間近で見ていたので、自然とこの仕事にも馴染めた気がします。』

両親とも教員だったという泉さん。しかもお父様がこの天草青年の家に一時期ご勤務され、ご自身もそのイベントに参加されていたという事実。子供のころ見ていた父親の働く姿がこの仕事へと導いたのかもしれませんね⁉偶然というよりも必然、まさにこの仕事は泉さんにとって天職なのかも知れません。『とにかくこの仕事は楽しいんです。』と日焼けした笑顔が印象的な泉さんの表情は、イキイキとして充実感に満ち溢れている感じが読み取れます。

〇子供たちの心に種をまく。体験が学びが成長へと変わる瞬間に立ち会える喜び。
海と山に恵まれた自然の中で、共同生活を通して、人や自然を仲間にしながら講義や演習、スポーツ、レクリエーション、野外活動などに取り組む様々なプログラムを実施している「天草青年の家」。泉さんのお話の中で、特に印象的だったのが「一発勝負」という言葉です。
『1泊2日、もしくはたった一つの活動という短いスパンの中で、いかに子どもたちとかかわりを深めて仲良くなれるか。いかにその後の子どもたちの成長の糧となるようなきっかけを作ってあげられるかが大事なんです。言葉選びも反応を見ながら変えていきます。学校の教師のように長い時間をかけて関係を築くのではなく、限られた時間の中で子どもたちとの絆を深めながら心に何かしらの成長の種をまく。私たちの仕事って短期決戦の一発勝負なんです。』
長期キャンプでは来た時と帰る時では見違えるほど成長する子がいるようで、そんな活動の中で子供たちの「目がキラキラしてくる」瞬間や何かをつかみ取る姿に、この仕事の“手応えとやりがい”をお感じになるそうです。短期決戦の一発勝負。子供たちの心に成長の種をまくという素晴らしいお仕事ですね⁉




〇「ただいま」が言えない夜に子供たちは強くなる。親のありがたみを知る通学合宿
ここ数年、上天草市内の小学校の子供たちを対象にした「通学合宿」というプログラムがあります。3泊4日で施設に寝泊まりしながら、そこから学校に通うというユニークな取り組みです。子どもたちは料理や掃除など、普段は親がしてくれていることを自分たちでしなければならないという体験学習の一種です。
『親御さんへの感謝の気持ちが芽生えるんです。料理や掃除も自分達で体験することによって、その大変さがわかるんですよね。通学合宿が終わって家に帰って、家の手伝いを進んでする子もいれば弟の面倒を見るようになった子もいて。「一回り二回りも大きくなって帰ってきた」って親御さんたちからも高い評価をいただいています。』
家や学校や教科書では教えられない、生活の中から生まれる経験という“学び”。それが通学合宿の真骨頂なのでしょうね⁉無人島などを舞台とした長期キャンプでは子供たちの変化が大きいと言います。
『長くなればなるほどその人の“素”が出てくるんです。ゲームもインターネットもない環境で、仲の良い友達の知らなかった一面を発見し、時にはケンカになることもあります。そこで“絆の再構築”が始まるんです。でもたとえ一度関係が壊れても、その後仲直りして、そこからさらに絆が強くなるんです。子供ってすごいですよ!!』



〇潮風と歓声が溢れる。自然の中が教室になる「熊本県立天草青年の家」。
天草青年の家の最大の魅力は、海と山の両方を楽しめる立地です。目の前には天草の海、背後には緑豊かな山々。この環境の中で子どもたちは集団生活をしながらペーロン体験や山登り、魚釣りなど多彩なプログラムに取り組むことができます。南の島勤務を夢見ていた青年が、父の背中に導かれるようにたどり着いた天草の海と山に抱かれたこの場所で、子どもたちの未来へとつながる成長の種をスタッフと一緒に蒔かれています。子どもたちの「目がキラキラする瞬間」のための一発勝負。自然溢れる山と海、そして燦燦と降り注ぐ太陽の光に爽やかな潮風。笑顔と自然に出会える、天草の海を見渡す山の上に「天草青年の家」はありました。





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