江上文子さん 上天草市『ある時は保育士、ある時はお坊さん、そしてある時はタヒチアンダンサー。この天草の地でパワフルな輝きを放つ、江上文子さんという生き方。』かたりばvol.10

取材🎤 文章💻 撮影📸 : 太田弘樹
〇もともと私、どちらかと言えば内気な性格だったんです。
江上さんと初めてお会いしたのは、確か天草五橋祭のステージだったと記憶しています。司会をしながら、青空の下、独特の掛け声と華麗に踊るその姿を目の当たりにした私は『天草にもタヒチアンダンスをするチームがいるんだ』とビックリしたのを今でも鮮明に覚えています。あれから数年後、そのダンスチームを主催する方が、我が家もお世話になっている西運寺の娘さんだということを知ってさらに驚きました。ある時はチームRaiatea(ライアテア)を主催するタヒチアンダンサー、ある時は浄土真宗・西運寺のお坊さん、そしてまたある時はいまいずみ保育園で0歳児を受け持つ保育士、その人の名は「江上文子(えがみふみこ)」さん。周りのみんなからは親しみを込めて「ふみさん」や「ふみちゃん」と呼ばれる、この地域には欠かせない人気者です。
そんなふみさんは、松島町今泉地区にある西運寺の娘としてお生まれになりました。中学卒業後にこの上天草市を出て高校・大学へ、そしてそのまま熊本市内で就職され、介護福祉士としてお仕事に励まれたそうです。
「デイサービスの施設だったので、夜の時間が比較的空いていたんですよ。何か習いごとでも始めてみようかなぁと思って見学に行ったのがフラダンスの教室でした。しかも先生がなんと松島出身の方で(笑)しばらくはフラをやっていたんですが、先生がタヒチアンダンスも始めるってことになって。それが始まりですかね⁉」

キャラクターデザインの可愛らしい輪袈裟(わげさ)と法衣姿のふみさん
明るい笑顔はそのままにタヒチアンダンサーの時とは打って変わり落ち着きのある雰囲気。お知り合いから頂いた可愛らしいキャラクターデザインの輪袈裟(わげさ)に法衣姿でお話をするふみさん。
「もともと私、どちらかと言えば内気な性格で自分から話しかけるのが苦手だったんですよ。タヒチアンダンスとの出会いが様々な面で私を変えてくれたような気がします。始めたばかりの頃は激しい動きを習得するため、仕事が終わった夜の7時からおよそ4時間程、ほんと部活みたいにみんなでやっていました(笑)タヒチアンダンサーとして人前やステージとかに立つようになって、気がつけば初対面の方とも自然とお話ができるようになっていましたし、人とのつながりもたくさんできて心から楽しいなって思える瞬間が増えました。」
タヒチアンダンスという難易度の高い踊りをマスターできたという成功体験が自信へとつながり、一緒に取り組んだ同じ志の仲間やダンスを通して出会った方々とのかけがえのない絆が、常に前向きで周りを明るく楽しい気持ちにさせてくれる、みんな大好きな今のふみさんへと変えていったのでしょうね⁉うんうん納得です。
〇家業であるお寺を継ぐとか、保育園で働くことは全然考えていませんでした(笑)

浄土真宗 西運寺の衆徒としてのおつとめもされているふみさん
今から393年前、里山の自然溢れるのどかな今泉地区に創建された浄土真宗の西運寺。現在の住職で18世となる歴史あるこのお寺で、ふみさんは衆徒(しゅうと)としておつとめをされています。家業であるそんなお寺と保育園でのお仕事。でも実はふみさん、もともとは全く働くつもりはなかったと言います。
「家業であるお寺を継ぐとか、保育園で働くことは全然考えていませんでした(笑)姉たちは卒業してすぐに僧侶の資格を取ったのですが、当時の私にとってお寺って「古典的・堅苦しい」というイメージがどうしてもぬぐい切れなくてちょっと違うかなぁっと思って資格は取りませんでしたし、保育園も姉たちがいるので私が入ったら一番下だし、色々と大変そうだなぁって思って(笑)それで別の仕事をすることにしました(笑)」
「でも結局、その別の仕事に就いたからこそタヒチアンダンスにもめぐり合えたし、そんな社会人になって始めた趣味のサーフィンを通して今の夫とも出会うことが出来たんです。結婚・子育てのタイミングでここに帰ってきたということは、なんかそういう事かなって今は思います(笑)。お導きというか、定めだったんでしょうね⁉保育士も衆徒の資格も取りましたし(笑)。」

山のふもとに佇む木造作りの立派な山門

393年の歴史を持つ松島町今泉地区にある西運寺

いまいずみ保育園では0歳児を受け持つふみさん
〇コロナ禍で変わったお寺のあり方。地域に開かれた皆さんの拠り所となる場所へ。
ふみさんがお寺や保育園で働くことになったのは今から4年前。結婚・出産して過ごす久しぶりの故郷での新たな生活でしたが、コロナがだいぶ落ち着いてきたとは言え、周囲を取り巻く環境は一変していたそうです。
「法要などを始めとした行事が開催できなくて、お寺に人の姿がない寂しい日々が続いていました。子供会のイベントもなんにもなくて地域のつながり自体が薄れている感じがして。私が知る今泉じゃなかったんです。そんな状況を何とかしたくて、思い立って勢いのまんま始めたのが、『西運寺ふれあい祭り』なんですよ。」
そんなふみさんを突き動かしたのは、「暗く沈んだ地域をなんとか元気にしたい」との純粋な想いでした。そもそもお寺は地域に開かれた存在。子供からおじいちゃんおばあちゃんまで笑顔になれる場所を提供して、自分が小さかった頃のようにみんなが集える拠り所としてのお寺本来の在り方を目指したと言います。
「できることから少しづつって感じで始めたんですが、子供から大人までたくさんの地域の方々が遊びに来て下さって、当日は想像以上の賑わいでビックリしました。なによりも皆さんに楽しんで頂けたのが私としては本当に嬉しかったですね。突拍子もない私の想いを檀家さんはもちろん、地域の皆さんが手伝って下さって本当に感謝の気持ちでいっぱいでした。コロナがあったからこそ今の新たな形ができたのかもですね⁉」

ふれあい祭り 雅楽の演奏をはじめ様々な催し物が

ふれあい祭り たくさんの人で賑わう本堂

ふれあい祭り 境内には多くの子供たちに姿も

ふれあい祭り 坊主BARも大盛況
〇この天草にどんな新しい風を吹かせてくれるのか楽しみです。
保育士・僧侶・タヒチアンダンサーという多彩な顔を持つ江上文子さん。地域のつながりを大切にし、みんなが集える楽しい仕掛けを作り続けるその姿は、これからも多くの人々に勇気と希望を与えてくれることでしょう。そんな彼女が今後この天草の地にどんな新しい風を吹かせ、明るい未来をもたらしてくれるのかとても楽しみです。これからも力いっぱい応援しています(^^♪。

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