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お兄さんとおっちゃんのはざまでラジオ『ためにならなくていい、ゆるっと聴いていられる。上天草在住アラフォー2人が届け続けるPodcast』かたりばvol.32

2026/5/31

かたりば

お兄さんとおっちゃんのはざまでラジオ『ためにならなくていい、ゆるっと聴いていられる。上天草在住アラフォー2人が届け続けるPodcast』かたりばvol.32

取材🎤文章💻撮影📸:飯野亮

「そんなにためにはならないけど、ゆるっと聴いていられる」——そんな感想をリスナーからもらったことがあると、ツトムさんとアユムさんは笑いながら話してくれた。

褒められているのかどうかよくわからない、と言いながらも、その言葉がなぜだか嬉しかったという。

上天草市を拠点に、毎週水曜日に配信を続けるPodcast「お兄さんとおっちゃんのはざまでラジオ」(Spotify)。先日ついに100回を迎えたその番組は、2人の移住者が「知らないこと」を調べて雑談するというシンプルなスタイルで、2年近く休まず続いている。

「ネタ切れが怖かった」——だから知らないことを調べることにした

もともとラジオが好きだったという2人。Podcastをやってみたいという話は、かねてからしていた。

「いざ始めることになったときに、どんなテーマがいいか考えていて。ただの雑談でもいいけど、ネタ切れになるのが怖くて」とツトムさんは振り返る。

そこで辿り着いたのが、「いい大人なのにスルーしてきたことを調べて雑談する」というスタイルだった。

毎回一つテーマを決めて、収録中に10分間だけ調べる時間を作る。Google検索3ページ分を読み込んで、そのままマイクの前へ。直近のテーマは確定申告と年末調整、電気にまつわる単位、柑橘の種類、おでんの具。少し珍しいところでは、電通と博報堂の違いや、ロータリークラブとライオンズクラブについても掘り下げた。

「毎回知らないことを調べるので、頭が痛くなります」とアユムさんは笑う。それでも、わからないことは「わからない」と素直に言いながら話せるこのスタイルが、番組の空気を自然なものにしている。

ネタ切れの心配はどうなったかというと——「恥ずかしながらわかんないことばかりで、当分は困らなさそうです」。

「お兄さんとおっちゃんのはざまで」——その微妙な感覚に、名前をつけた

番組名には、2人の年齢感がそのまま込められている。

30代後半から40代前半。職場や地域ではベテランで頼られる存在と思われがちだけれど、自分の中ではまだまだ若手で未熟だという感覚が拭えない。親戚からは「お兄ちゃん」と思われたいけれど、実際にはもう十分「おっちゃん」の年齢でもある。

「その辺の感覚は、やっぱりお兄さんとおっちゃんの狭間世代なんだな、と感じますね。日常生活を送る中でも、もっと大人に近づいていきたいという感覚は常にあります」とツトムさんは話す。

その微妙さをそのまま番組名にしてしまったのが、この2人らしい。

上天草の「スタジオ」で、3本まとめて収録する

お互い仕事をしているため、収録は平日の夜に行う。場所は上天草市の維和島にある、2人が「スタジオ」と呼んでいる場所だ。1回の集まりで3本分をまとめて収録する。

「毎回のどがカラカラになって、頭もちょっと痛くなります」とアユムさんは笑う。

機材は高価なものではないが、聴いている人が不快にならないよう、収録と編集には少しだけ気を遣っているという。こだわりがあるわけではないけれど、受け取る人のことを考える——そのさりげない気配りが、2年近く続いてきた理由の一つかもしれない。

仕切るツトムと、自由なアユム——自然と分かれた役割

番組の中での役割は、始めてみると自然と分かれてきた。

ツトムさんは仕切り役だ。話が横道に逸れたときに元に戻したり、全体のリズムや時間を見ながら締めるところを締める。そして、どんなテーマのときでも「誰にも求められていないのに」たいていの回で「アレンジレシピのコーナー」をぶっ込んでくるのも、ツトムさんのお決まりだという。

「そのリズムがすごく面白い」とアユムさんは笑う。

一方、アユムさんについてツトムさんはこう言う。「与えられたテーマについて、分からないことは『分からない』と言うし、難しいことは『難しい』と言う。素直な気持ちで楽しそうに接してくれるのが、番組にすごく良い影響を与えているんだと思います」。

アユムさんの声の良さも、番組の魅力のひとつだ。以前、別のラジオ番組に出演していたアユムさんを聴いたツトムさんの親戚が「この人、声がいいね」と言っていたのを、ツトムさんは今でも覚えている。「一緒にラジオをしたら面白いんじゃないか」と思ったのも、そのことが頭にあったからだという。

お互いの「しんどい」ところも、正直に話してくれた。アユムさんいわく「ランニングやマラソンに熱くなりすぎてしまうところ。情熱を燃やす姿はすごく素敵なんですけど、その注ぎ方が少し異常というか、時に怖さを感じる部分もあります」。ツトムさんいわく「収録中によくLINEが鳴って、その音が入っちゃうとか。自由でいいんですけど、そこは気をつけてほしいな、とは思いますね」。

そう言いながら、2人とも笑っていた。

豪雨災害のことも、マイクの前で正直に話した

地元・上天草のことが番組のテーマになることはそれほど多くないが、冒頭の雑談では地元の話題がよく登場する。上天草のマラソン大会に出た話、季節の出来事——。

そして去年の8月、上天草を豪雨災害が襲ったとき、番組の空気が少し変わった。

「その時は少し真面目になってしまうんですけども、当時の様子を話したり、今どういう気持ちなのか、被害の状況であったり、周りの人が復興に向けて頑張っている様子を喋ったりしたこともありました」とツトムさんは振り返る。

マイクの前で正直に話すこと。それが、この2人の地域との向き合い方でもある。

「自分たちで娯楽を作り出せているのが、すごくいい」

上天草は田舎で、娯楽がそれほど多いわけではない。2人ともそのことは正直に認めている。

それでも、インターネットがあって、Podcastという仕組みがあって、音声を配信できるプラットフォームがある。必ずしも都市部にいないとできないことではない。

「自分たちで娯楽を作り出せているというのは、すごくいいなと感じています」とアユムさんは話す。

その言葉が、この番組の本質を表しているように思える。誰かに聴かせるためではなく、まず自分たちが楽しんでいる。その楽しさが、リスナーにも届いているのだろう。

100回を超えた——「無理なく続けていくことが、一番の目標」

毎週水曜日、2年近く休まず配信を続けてきた。先日ついに迎えた100回目は、その積み上げの証だ。

「200回続けたい」「300回続けたい」といった大きな目標があるわけではない、と2人は口をそろえる。

「自分たちが無理なく続けていく中で、その様子を楽しんでいただけたり、引き続きお便りをくださる方がいらっしゃったりしたら、それはとても嬉しいことだと思います」。

また、もし地域の方でPodcastを始めてみたいという方がいれば、ノウハウをお伝えすることも、ゲストとして番組に来てもらうこともできると話してくれた。マイクの前で喋るだけで始められる——そのハードルの低さを、2人は誰よりもよく知っている。

「そんなにためにはならないけど、ゆるっと聴いていられる」。

リスナーのその感想を嬉しそうに話していた2人の姿が、印象に残っている。ためにならなくていい。ゆるっと続いていくことが、この番組の強さなのかもしれない。

番組はSpotifyで毎週水曜日に配信中。ぜひ一度、聴いてみてください。

Podcast「お兄さんとおっちゃんのはざまでラジオ」

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