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山川精肉店『美味しいお肉と地域の話題は「山川精肉店」で。8月の記録的大雨で何もかも失った絶望的な浸水被害から蘇る、家族と地域との絆が紡いだ奇跡の再生物語』かたりばvol.22

2026/2/19

かたりば

山川精肉店『美味しいお肉と地域の話題は「山川精肉店」で。8月の記録的大雨で何もかも失った絶望的な浸水被害から蘇る、家族と地域との絆が紡いだ奇跡の再生物語』かたりばvol.22

取材🎤文章💻撮影📸:太田弘樹(一部写真はご提供いただきました)

水が少し引いた後の店舗付近。2m近くの水が、この地域の人・建物・暮らしを襲いました。

1月上旬にオープンした新しい店舗は16畳程。改築工事の殆どは自分達で作業されました。

〇創業およそ70年、地域の暮らしを支えてきた、人々に愛され続ける「山川精肉店」。

上天草市松島町合津。天草五号橋を渡り、松島総合センター「アロマ」横を通る国道266号線から右側に入った旧道沿いにそのお店はあります。私がまだ小さくて可愛かった小学生の頃(笑)、五橋祭の催しものの一環で「鼓笛隊」として練り歩いた思い出もある、古くからのお店が立ち並ぶこの通りに、創業およそ70年、この地域の暮らしを支えてきた、人々に愛され続けるお店が今回ご紹介する「山川精肉店」です。2代目でお母様・美眞子さん、元自動車整備工のお父様・年行さん、娘さんで長女の美和さん、次女・貴子さんの親子4人でお店を切り盛りしていらっしゃいます。今からおよそ70年前の高度経済成長期を迎えた1950年代に精肉店として産声を上げたこのお店。美眞子さんが働き始めた中学卒業後、「付近で暮らす人々がより生活しやすいように」との想いから、野菜や日用品までをとり扱う品揃え豊富なお店へと変わり、最近ではこの地域に暮らす高齢者の方々が足しげく通う、この地域の暮らしを支え続けてきた、なくてなくてはならない貴重な存在のお店でした。

2022年7月当時の店内。お肉から野菜・日用品に至るまで様々な商品が所狭しと並びます。

創業約70年、精肉店から始まり、地域の生活を支え続けてきた、なくてはならない存在でした。

〇すべてを失ったあの日。残ったのは「この命と、家族や地域との絆」でした。

『なんもかもなくなった。この年になって住む家すらなくてアパート暮らしになるとは考えてもみらんかったです。』

そう話す2代目の美眞子さん。中学卒業と同時に実家の家業であるこの店で働き始めて57年。あの日も朝早く起きてお得意先への配達の準備をしていたと言います。雨音の大きさに違和感を感じながらも作業に励んでいた中、突然の停電。外の様子を確認するためにお店の扉を開けると、大量の水が流れ込んできたそうです。大事な商品を運び出そうとしましたが、溢れる水の勢いと増水の早さに命の危険を感じ、娘の美和さんに手を引かれながら、隣の家の二階へと避難。まさに一瞬の出来事で、成すすべが何もなかったといいます。

『お盆を控えて多めに仕入れていた商品、ショーケースや大きな冷蔵庫、配達用などの車4台、店舗も住宅も全部泥水に浸かってしまって。何もかもがなくなったです。残ったのは「この命と家族や地域との絆だけ」です。』

水害後、栄養失調や心身の不調で倒れ、一時入院。『もうお店の再開は無理かも知れない』。そう感じていました。

水害後の様子。奥にある業務用の大きな冷蔵庫ですら押し寄せた水に倒されています。

水害後の様子。お盆用に多めに仕入れていた商品の全てが泥水に浸かり、廃棄処分に。

住居部分にまで押し寄せた水で部屋は物が散乱。あの水害で家も店舗も車も全てを失いました。

〇絶望からの再起。原動力となったのは家族と地域の力でした。

その被害の大きさから気持ちが塞ぎ込み、何から手を付けていいのか分からない日々がしばらく続いたそうです。そんな精神的にしんどい中ではありましたが、家族一の元気印・次女の貴子さんがこう切り出しました。

『めそめそしていても何にも始まらん。明日は必ずやってくるし。今はきつかばってん、皆で笑って乗り切ろう!笑う門には福来るたい。』

小さい頃から見てきたお店には多くのお客さんの姿が溢れ、いつも笑い声が絶えなかったそう。例えどんなに時間はかかっても、こんな時だからこそ「この地域の方々が気軽に立ち寄れるお店として再開しよう」という想いのもと、家族一丸となって再建に向けて取り組み始めたと言います。浸水被害にあった様々な廃棄物の処理から建物の解体、新たな店舗部分となるプレハブの改築工事などの作業は、基本的には業者に頼らず、娘さん夫婦を中心に地域の方々や知り合い、孫たちの友達やその保護者の方々に至るまで多くの人達にお手伝い頂いたそうです。そこで皆さんから掛けられた「またお店の再開、待っとるけんね。」という温かい言葉。この地域にとってお店が必要とされていた存在だったという実感と、地元の方々との強い絆を改めて感じた瞬間でした。

当時を振り返って。水害後、唯一残ったのは「この命と地域との絆だけ」とお話しされます。

目の前のアパートや建物は取り壊され空地に。この地域や人々に大きな被害をもたらしました。

〇地域の暮らしを支える「山川精肉店」としての再出発と新たなる挑戦

あの記録的大雨から半年後の今年1月上旬。「山川精肉店」はまた同じ場所で見事復活を遂げました。目が覚めるような水色の建物、道路沿いには営業中ののぼりが!新しい店舗は約16畳程、開店を祝うお花に新鮮な野菜や日用品などが並ぶ店内ですが、まだかつての約3割ほどの品数だそうです。厨房を覗いてみると、新しく購入された大きな冷蔵庫からスライサー・包丁などの真新しい厨房機器や道具が並んでいます。再建には随分費用もかかったそうです。2代目・美眞子さんは、こうお話しされます。

『これまで財産も借金も残さないよう、一生懸命この店で仕事を頑張ってきたばってん。この年になってまあこんな大きか借金を抱え込んでしまってね。どぎゃんしましょう⁉少なくとも10年は私たち倒れられんとです(笑)。でもまあこうやって、みんなで笑い合いながら話せるようになっただけでも良かったかなと思います!』

1月上旬に再オープンした「山川精肉店」。昔の建物は取り壊され、至る所にまだ被害の爪痕が。

開店を祝うお花に新鮮な野菜や日用品などが並ぶ店内。まだかつての約3割ほどの品数だそう。

大きな冷蔵庫からスライサー・包丁に至るまで全ての厨房機器や道具を新しく購入されたそう。

気がつけばたくさんの方々で賑わう店内。被害を受けた後もこの地域で暮らすお客さんと共に。

おしゃべりに花が咲き、笑顔溢れる店内。いつの間にか井戸端会議に。

気がつけばたくさんの笑顔で賑わう店内。取材当日、訪れたお客さんもそれぞれが水害で大変な目に遭いながらも、前を向いて頑張っていらっしゃる方々でした。この地域には迫りくる水から逃れるため、ある人は台所のシンクの上、ある人はタンスの上に登って泥水に浸かりながら耐え忍んだ人も多くいると聞きます。そんな地域の皆さんが、このお店の再開を心待ちにしていらっしゃったそうです。お客さんいわく、

『足が悪いから。ここが再開してくれて助かる。肉も野菜もここに来ればなんでもある。』

『あの日から焼き肉をしていなかったけど、ここで美味しい肉が買えるので久々に焼き肉をしました。』

そうお店の魅力を熱く私にお話しになるお客さん達。創業およそ70年の「山川精肉店」がこの地域の人々の暮らしを支えてきたという信頼と実績、さらには地元に愛され続けている、なくてはならない大事な存在であることが私にもひしひしと伝わりました。お店とこの地域との絆はかなり大きく強いのでしょうね⁉

お買い物と地域の話題は「山川精肉店」で。今日も元気に営業中です。

建物こそ変わりましたが、これからも変わらずこの地域の暮らしを支え続けることでしょう。

「山川精肉店」の笑顔が素敵なご家族。ついこの笑顔に会いに行きたくなります。

〇涙と笑顔の先に・・・「山川精肉店」はこれからも地域の暮らしを支え続けます。

記録的大雨による甚大な被害を乗り越え、家族や地域との絆で見事に再建された「山川精肉店」。どんな困難な状況でも前を向き、笑顔で助け合い、新たな一歩を踏み出したご家族と地域が紡いだこの奇跡の再生物語は、被害を受けていまだ大変な中にいる多くの人達にきっと勇気や希望をもたらしてくれることと思いますし、地域に根ざした温かいお店として、人々の暮らしを支え続けていくことでしょうね。そんな「山川精肉店」のこと、これからも力一杯応援しています!(^^)!

「山川精肉店」の場所はこちらから👇

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