樋島ドック上天草市『事業承継を決意したのは30歳の時。海上保安庁・イルカウォッチングの船長を経て辿りついたこの仕事。樋島ドック株式会社 代表 渡邊航太さん』 私のシゴトバvol.12

取材🎤文章💻撮影📸 : 太田弘樹(一部写真はご提供いただきました)

この地域唯一の造船所・樋島ドックは樋島大橋のたもとにあります
〇この地域唯一の造船所・樋島ドック株式会社を率いるのは30代の若武者でした。
上天草市龍ヶ岳町樋島。島の周囲は約12㎞。上天草市の南部に位置し、古くから水が豊富だったことから別名「水島」とも呼ばれているそうです。海の透明度が高く、私も魚釣りで何度も訪れている島でもあります(^^♪。そんな樋島とを結ぶ大橋のたもとに、今回ご紹介する「樋島ドック株式会社」はあります。かつて漁業が盛んだったこの島にはいくつもの造船所があったそうですが、今ではこの地域唯一の造船所となってしまいました。そんな樋島ドックを率いる社長は、今年33歳の若武者・渡邊航太さんです。ヘルメットにつなぎ姿、海が似合う素敵な笑顔で出迎えて下さいました。海上保安庁で8年間、イルカウォッチングの船長として約3年半ご勤務されたという生粋の海の男といった感じの渡邊さん。
「イルカウォッチング船をここで整備してもらっていたんです。先代の親方から『跡取りもいないし、もうここを辞めようと思っているんだけど、渡邊くんやってみない?』って切り出されて(笑)。最初は勇気が要りましたね。でも『この地域の造船所の灯を消してはならないという使命』みたいなものを感じて心を決めました。」
事業承継を決意したのは渡邊さん30歳の時でした。この地域唯一の造船所という存在であり、「なくなっては困る」というその重要性を誰よりも感じていた渡邊さん。およそ1年間は先代の親方の下で一緒に働いたと言います。
「自分にとってもやれるかどうかの試用期間みたいなもんですかね。でもここを利用するみんなからは「もう逃げれんよ」ってやらざる負えない状況になって(笑)そんな地域からのいろんな声も後押しとなって、2024年1月に先代の親方から事業承継しました。」
20トンくらいまでの船の修理や整備がメインの樋島ドック。お客様の立場に立って考え、安全な運航ができるよう船を徹底的に蘇らせる事が信条だそうです。現在は従業員4人、アルバイトさんも入れ計8人で業務にあたっています。

海上保安庁・イルカウォッチング船長を経て、事業承継を決意したのは30歳の時。

かつて3軒あった造船所。この地域の造船所の灯を消してはならないという使命感から。

修理や整備がメインの樋島ドック。お客様の立場に立って船を徹底的に蘇らせます。
〇祖父母の代まで海運業をしていた渡邊家。修理はいつもここを利用していました。
「私の名前は『航太』って言うんですけど、もともと渡邊家は祖父の代まで海運業をやっていたんです。その船の整備や点検をしてもらっていたのがこの造船所で、小さい頃、遊びにきていた思い出の場所なんです。」
そう話す渡邊さん。天草に帰郷後、農業をすることも視野に入れていたそうですが、船に乗ること自体も整備することも大好きで、何よりも小さい頃からの思い出の詰まったこの場所で新たな道を歩み始めました。「うちくらいのサイズの小型船が利用できるドックが天草からどんどんなくなってきているんです。押し船、小型の旅客船、漁船など多くの方に利用して頂き、この地域にとって少しでもお役に立てればと思っています。」
事業承継してもうすぐ2年。船を上げるための台車やレールなどの交換時期が迫っていて、あと10年位は設備投資に費用がかかるそうです。そんな中、常にお客様の立場になって整備・点検に励まれています。
「汚れている船をみると、『船自体が痒そうにしている』ように感じるんです。作業が終わってキレイになった船ってキラキラと輝いているし、海の上をスーって気持ちよさそうに進んで帰っていくんです。そんな船の姿を見る時が一番やりがいとか達成感を感じる瞬間ですかね⁉とくかく安全な航海ができる様にしっかりと整備するのが私達の仕事です。」
そう独特の表現でお話になる渡邊さん。船乗りや整備士という両方の知識や経験を活かしながら、常にお客様にとってベストな最適解を導き出し、日々スタッフと一緒になってドックで作業に取り組まれています。

もともと3代続く海運業だった渡邊家。祖父の船が利用していた造船所がここでした。左が航太さん。

船と整備、そして小さい頃からの思い出のこの場所が大好きだと語る渡邊さん。
〇橋のたもとにある樋島ドック。この地域の活気ある象徴となるよう頑張っていきたい。
「もともとこの島には3軒の造船所があったんです。今ではうちが唯一となってしまいました。島へと渡る樋島大橋のたもとという目立つ位置にありますので、この地域の活気ある象徴となるような存在になれればと思っていますし、ここで頑張る誇りとして、地域の名前を冠した『樋島ドック』という会社名にしました。」
今年2025年10月、樋島ドック株式会社として会社を設立された渡邊さん。そこには『海運業の灯を消さない。この地域と共に頑張っていく』という強い決意が感じられます。今年33歳の若武者・渡邊航太さんの新たな船出と今後のご活躍、大いに期待しています。海運業を取り巻く現状は厳しいものもありますが、きっと大丈夫!!そう強く感じさせられたインタビューでした。樋島ドック、これからも応援しています(^^♪

橋のたもとにある樋島ドック。この地域の活気ある象徴として頑張っていきたいと話す渡邊さん。

このサイズの造船所は天草ではここだけ。地域の主産業である海運業を支えていきたい。

対岸から見た樋島ドックの全景。赤白の大きなクレーンが目を引きます。
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